モーゼル川からほど近い山あいの村
Bad Bertrich(バート・ベアトリッヒ)では、山歩きも体験。そう、気分は山ガ~ル。とはいえ、本格的に山登りをする方からしたら、ほんの丘程度のものでしょう。だが、しかし・・・、普段はスポーツクラブの室内でへなこちょトレーニングしかしていないワタクシにとっては、自然の登り坂が結構こたえる。この日は村を取り囲むようにいくつもあるコースのひとつを歩いてみることに。
村外れの池近くが、山歩きのスタート地点。すでに、最初の登り坂から息が上がる。山に咲く花でもめでながら・・・なんて考えて、ドイツで購入した花ジテンをリュックに入れてきたものの開く余裕などなし。そして、日本にいた頃から花に疎い生活をしていたため、野に咲く花の名前など知るよしもない。花の名前は、後で調べてみようと、とりあえずシャッターを切りながら歩いた次第。
池のほとりには、この時期、ドイツの道端でよく見かける白い花がわんさと咲いておった。今まで、単なる雑草花だとばかにしていたので、敢えて花の名前など調べることもなかった。とりあえず花ジテンを開いてみると、Weisen-Labkraut(ヴァイセン・ラープクラウト)なる花のよう。「ヨーロッパの草原や牧草地に多く生息」と書かれている。んん・・・、やはりタンポポ同様、どこにでも根付く強靭なる雑草系。ちなみに、ドイツではタンポポはかなりの嫌われモノ。単なる雑草なんざんす。日本だと、かのカリスマシンガーが「風にのり~♪ 飛んで来た~♪ はかない種のような~♪ 」なんてたんぽぽを「はかない」形容詞でうたいあげておられるが、おそらくドイツ人には理解不能な歌詞でしょう。風にのってやってくる種こそが、にっくきものだから。ドイツでは庭に生えるタンポポを放置していると、隣人からクレームもんなんだそう。日本のように可愛らしいいという位置づけではないのだ。立ったまま雑草をこそぎとる器具の広告では、「たんぽぽ」が使われていたのをみたこともある。桜にしても然り、ドイツ人に人気ある花ではない。日本人とドイツ人の花に対する美的感覚は、根本的に全く違うのだなと思うんですよ。
野山には様々な花が咲いていて、ワタクシの花ジテンにもこの手の黄色い花が山のように載っている。ちらっと見ただけでは、花の名前なんぞ簡単には見つからない。穴のあくほど、花ジテンの黄色の花ページから探し出したこの花は、Schöllkraut(シェルクラウト)。こちらもまた、野原や林縁に自生する植物とのこと。とても小さく可愛らしい花なのだが、なんと花ジテンにはドクロマーク。皮膚の弱い人はかぶれる危険があるようだ。日本語名ではクサノオウと呼ぶようで、日本語Wikipediaを見てみたら、「この植物を誤食すると皮膚同様に消化器内の粘膜がただれ、時には死に至ることとなる。」なんて恐ろしいことが書かれていた。安易に摘み採らなくてよかったよ。
この時すでに午後6時をまわっていたが、陽が長くなったドイツでは昼過ぎの明るさ。天気がよければ、夏は楽園。太陽の力とは偉大なもんだわね。真っ暗で寒いと外を出歩こうなんて活動意欲もなくなるが、太陽が出ていれば不思議といつまでも動き回れる。
途中、小さな展望台から望んだ風景。緑が目にしみる。
見るからにちと毒々しいこの花も花ジテンにはドクロマーク。ドイツ語名はTaubenkropf-Leimkraut(タウベンクロプフ・ライムクラウト)。日本名では「シラタマソウ」と呼ばれるようだ。花屋に並ぶ花の名ですらおぼつかないのだが、いつの日か野に咲く草花の特徴をすらすら語れるぐらいの植物ウンチクばあちゃんが目標。
日本に居た頃、年に1回GWに山歩きを恒例にしていた頃があったのだが、大自然の山道も都内の如く人、ひと、ヒト。ゆっくり自然を楽しむはずが、山道で行列なんてこともあったよな。その点ドイツは、人がわんさとなんて光景はまずないから、マイペースでゆっくり山ガ~ル気分が楽しめる。
ハコベの花の類だよな・・・・と、花ジテンを探してみる。ドイツ語ではGroße Sternmiere(グローセ・シュテルンミーレ)というらしい。ワタクシの花ジテンは花ド素人には調べやすい、色別分類。使い勝手がいい本だと思うが、如何せん・・・、全てドイツ語。そう、ぱっと見て歩きながら解読なんてできないところが難点。
道中、とてもジメジメしていて、ぬかるむ場所も有り。辺りにはシダ植物がわんさと茂っておりました。
花ジテンを開くも全く同じ花が見つからず、一番似ているのがSchwarze Teufelskralle(シュヴァルツェ・トイフェルスクラレ)という花。Schwarze Teufelskralleを直訳すると「黒い悪魔のツメ」と、かなりおどろおどろしい。この山でみかけたそれよりは小ぶりで薄いむさき色。黒い悪魔のツメというには毒気がちと足りない・・・、小悪魔のツメぐらい。
Hohenzollernturm(ホーエンツォレルントゥルム)と呼ばれる休憩所。ドイツの偉大なる王ヴィルヘルム1世の生誕100年を記念して1897年に作られたものだが、私にはつい最近の建築物のように見えた。手元の地図には、「村の住民と温泉保養に来た方々からの寄付、780ライヒスマルクで建てられた」との但し書き。Reichsmark(ライヒスマルク)は、1924~1948年のわずか20年ちょっとの間、流通した通貨単位。今だと一体、どのぐらいの価値なんでしょうかね?
この塔からは、塔が建てられた頃とほとんど変わっていないんじゃないかと思うほどのどかな村が見渡せる。
村を見下ろす塔の周りには、Besnginster(ベーゼンギンスター)。ヨーロッパを中心に分布する低木で、枝に咲く花は、まるで黄色い蝶のよう。ピンクや赤といった品種もあり、庭木としても親しまれているんだそう。そういえば、家の近所でも見かけたことがあるぞ!
もう何年も倒れたままだとわかるほど、コケがびっしり生えている巨木。散策コースには、溶岩が固まってできた洞窟や中世に立てられた城などたくさんのポイントがある。チーズを重ねたように固まった溶岩洞窟Elfengrotte(エルフェングロッテ)は是非、訪れたたかった場所なのだが、夕刻の山歩きでは時間が足りずにタイムアウト。
この辺でこの日は村へと戻ることに。なんちゃって山ガ~ルは終了。ちゃんと山歩きするなら、普段からもっと鍛えねばですな・・・。
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