うきうきビール生活 in フランクフルト

【オクトーバーフェスト♪2013】3度目のビール祭り

2013.9.21
ドイツに住んで早3年が過ぎ、Oktoberfest（オクトーバーフェスト）を訪れるのも3度目。今年は気合を入れ、祭りが開催される初日に行ってまいりました。いけてるお兄さんが運んでいるのは、Maß Bier(マスビアー)と呼ばれる1リットルジョッキ。誰もが大きなジョッキを片手にビールを楽しむ、それがOktoberfest（オクトーバーフェスト）なんでございます。Festbier(フェストビアー)と呼ばれるビールは、このビール祭りのためにつくられたもの。日本のビールとよく似たPilsbier（ピルスビアー）だが、濃厚な麦芽汁で仕込まれており、やや味濃いめでウマシ。ただし、普通のビールよりアルコール度数が高いのでご用心。ホップがきつくないので飲みやすい、とはいえ1リットルでしょ？とお思いでしょ？　しかし、これが飲めちゃうんだな・・・、2杯ぐらいは軽く。祭りの雰囲気がそうさせるのかしらね・・・。



ビール樽にハンマーで蛇口を打ち込み、”O'zapft is!(オ ツァプフト イス)”の掛け声がかけられるまでは、ビール祭りの会場といえど一切、ビールを飲むことができない。この大役をもう何年もはたしているのが、この祭りが開催されるMünchen（ミュンヘン）のUhde（ウーデ）市長。
「ビール樽に注ぎ口が付いたぞ！」てな意味の”O'zapft is!(オ ツァプフト イス)”は、「これから16日間、ビールを飲みまくるぞ！」の合図でもある。


実は今回のOktoberfest（オクトーバーフェスト）、この樽開きが見たくてたまらないダンナの発案で初日から参戦となったのだ。祭りの開催が宣言される樽開きは、”Schotenhamel（ショッテンハメル）”というビールテントで行われる。テントといってもこちらは6000座席もある大きなビール小屋。初日早くに出張れば、運良く市長の樽開きが見れると踏んでいたのだが甘った・・・。


結局、ビールテントには入場できず、中の様子がのぞける屋外席を陣取った。外といったって、ホレこの通りの満席。


会場周辺は、こんなに盛り上がっているのにビールテントの中はまだまだ人影まばら（樽開き1時間以上も前の状況）


樽開きの前だが、オーダーを取りに来てくれたお兄さんに「ビール飲めますか？」と駄目は承知でたずねてみると、苦笑いで首を横に。この時点で飲めるのは、このコーラのような甘い飲み物のみ。


いつの間にやら人で一杯になっていた場内。


ビール祭りでよく見かける、このつまみが窓越しに見え、こちらも腹の虫がグーっとなる。


そうこうするうちに屋内の人が皆、椅子の上に立ち始めた。いよいよ、Uhde（ウーデ）市長の入場のよう。


12時に行われる祭り開始の儀式が終了し、Uhde（ウーデ）市長が”O'zapft is!(オ ツァプフト イス)”と宣言した直後に、次から次へとビールがすごい勢いで運び出された。たまたま、ビールが注がれる場所のすぐそばに座っていたため、裏方事情を目の前で見ることができてちと楽し。


1リットルジョッキを涼しい顔でいくつも運ぶうら若き女性の姿は、なんとも凛々しい。


誰もが待っていたビールがテーブルに運ばれて、隣り合った人から人へとリレーの如く渡される。最初のビールはオーダーをとることなく、どんどん運ばれるようになっているようだ。3度目のビール祭りにしてはじめての体験。屋内から漏れ聞こえるバンドの演奏は、この祭りには欠かせない乾杯の歌。テントの外でも大合唱。歌い終わったら、隣近所の方々とジョッキをあわせ、乾杯！！！


ダンナとワタクシのお隣は、München（ミュンヘン）に住む若夫婦とそのご家族。てっきり生粋のミュンヘン人かと思いきやパパとママは、息子夫婦を尋ねStuttgart（シュトゥットガルト）からやって来たんだという。息子も頑固親父も生粋のシュヴァーベン人。「ミュンヘンなんかにゃ負けないよ！」的なところが会話の端々に。ビール祭りでは、ギュウギュウになって座席に座るのが常なので、知らないお隣同士でも乾杯し、会話を楽しむのが鉄則なんでございます。


ビールテントの座席取り以上に大変なのが、トイレ。何千人も入る大きなビールテントには、勿論トイレが完備されているが、タイミングが悪いとものすごい行列。Maß Bier(マスビアー)を半分飲んでトイレにたったのだが、20分以上並ぶ羽目に。知らないもの同士なのだが、トイレ行列の前後でも「どこから来たの？」などと会話がはずむことも。この日は、「大阪に行ったことがある！」、「日本大好き！」というドイツ女子と仲良く行列いたしました。


ビールが運び出される近くには、山と積まれる大きなギョッキ。


何度見ても感動する、「ジョッキ持ち」。


仕事中なので、当然ビールはおあずけ。




ご覧の通り屋外席にも入ることができない人が行列をつくり、Maß Bier(マスビアー)を片手に飲めや歌えやと楽しむ人を恨めしそうににらみつける。そうそう、ビール祭りには老若男女みなドイツの民族衣装を着ております。女子は胸の谷間をここぞとばかりに見せつけるデザインのDirndl（ディアンドル）。男子はLederhose（レダーホーゼ）と呼ばれる革パン。


市長の樽開きは見れなかったものの、初日はビール祭りの気分を十二分に味わえて満足。Maß Bier(マスビアー)を2杯平らげ早々に退散。会場の巨大アトラクションを冷やかしながら駅へと向かうこととする。


ビール祭りのために設営された巨大アトラクションの数数。臨時の遊園地とは思えないほどの迫力。


ビールを飲んだ後なので、ぐるぐる回るものではなく、上下移動のアトラクションに乗ってみた。ドイツの移動遊園地での楽しみがアトラクション専属のＤＪ。こちらもノリノリのDJにより、怖さ倍増。


天辺まで上がったら、ビール祭りの会場が一望できて爽快。


ビールテントの周りには人・ひと・ヒト。明日はビールテントの中で、Maß Bier(マスビアー)を飲むぞ！


ビール祭りに来るたびに、毎年買おうか買うまうか悩むのが、この可愛らしいLebkuchenherzen（レープクーヘンヘルツェン）。


会場を後にしたのに、またトイレに行きたくなって会場近くのレストランに入り、またまたMaß Bier(マスビアー)。ビール→トイレ→ビールの繰り返し、これぞOktoberfest（オクトーバーフェスト）スパイラル。

【Oktoberfest 2013ホームページ】www.oktoberfest2013.com
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【夏旅・2013】 これが最後の備忘録

2013.8.8.18
この夏の旅行は、車でドイツ周遊。1週間で10の街をめぐり、ドイツの夏を満喫。ドイツに住んで間もない頃に「1週間の休みがあったら、車でドイツをぐるりと旅したい！」とダンナが言い出し、4回目の夏にしてようやく実現したもの。旅前半は北ドイツ、後半戦はマイセン、ゼルプと磁器の街を訪れ、旅はあっという間に終わってしまった。しかし、この旅の備忘録完了までに、2ヶ月以上。日本のガイドブックには記載のない街や、あったとしてもほんの少しの情報だけで、あれやこれやドイツ語の資料を解読しながら作業をしてたら、いつの間にやら秋になっておりました。小さなマルクトのスープ屋やホテルやレストランで頂いたドイツ料理・・・、どれも日本のガイドブックには載っていないものだからこそ、備忘録にしておこうと思った次第。


2013.8.18
さてさて、「2013・夏旅」最後の街も記しておこう。

アウトバーンをひた走り家路へと急いでいたが、ちょいと休憩しようということで、世界遺産の宮殿で有名なヴュルツブルクに立ち寄った。日本からのお客人が来るたびに、ここを訪れているので入場料のかかる宮殿はパス。この日は無料で楽しめる、世界遺産の庭園でひとやすみ。


夏も終盤にさしかかり、すでに庭園の花の勢いが失われた様子ではあったが、それでもまだまだ色とりどりの美しさ。お客人をご案内して3回は訪れている宮殿だが、いつ来ても美しい宮廷教会だけは見れずじまい。ところが、この日は運良く公開されていて、4回目にして美しき礼拝堂を拝むことがかなった。


タダで世界遺産を楽しんだ後は、定番コースとなる要塞がある丘の上へ。街の眺めを楽しみながらビールを頂こうという算段。


この街の名がついた、ご当地ビール。


ポツポツと小雨が降り出したが、雨などお構いなしの人々。


夏旅最後の食事は、インビス定番、ソーセージ。ドイツ旅の締めくくりに相応しく、安い！　早い！　旨い！　


「2013・夏旅」最後の写真は、ヴュルツブルクの街並み。茶色の屋根が広がるドイツらしい景色を楽しんで、久しぶりの我が家へ戻ることといたしましょう。

お次の旅日記は、今年で3度目の参戦となるオクトーバーフェスト。ミュンヘンのビール祭りでございます。
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ドイツ的なゲストハウス (2)ミトヴィッツ

今回の「夏旅2013」も終盤を迎え、今までの大盤振る舞いを取り戻すかのように、Mitwitz（ミトヴィッツ）のホテル選びはお値段（安さ）重視の選択となった。が、しかし、これがなかなか、コスパ良し。ホテルのような整ったサービスと設備はないが、木組みの外装はいかにもドイツ的。サウナ付きということもあり、我が家の宿評価は高い。

★★★Hotel-Gasthof Wasserschloß
【住所】Ludwig-Freiherr-von-Würtzburg-Straße 14 96268 Mitwitz
【電話】+49 9266 9670
【ホームページ】www.hotel-wasserschloss.de


このゲストハウスには立派なレストランがあり、これがまたよかった。バリバリのドイツ料理だが、うまし。あたりを見回せば地元民と思しきかたがたが笑笑と食事を楽しんでおられた。この夜、食事を頂いたのは　Speiseraum（シュパイゼラウム）と名づけられた部屋。日本語にすると「食事の部屋」とそのまんまであるが、素朴な雰囲気で落着ける。隣の部屋の陽気なドイツおじちゃんたちの笑い声も、夕食のスパイス。


【Fl. Valentin Rege・・・12,80ユーロ】
長い旅の締めくくりとなるアルコールは赤ワイン。普段はグラスでちょびちょび飲むが、旅も終わりということで興が高じて、ボトルでドン。水もドン。


「前菜→メイン→デザート」と一通りお願いせねば野暮となるフレンチやイタリアンと違い、ガツンと一皿メインだけで良しなところがドイツ料理のいいところ。「サラダ」付きの肉料理を注文したので、前菜がなくともこれで十分。肉ばかりといわれるドイツ料理だが、サラダのバリエーションは意外や意外に多いのだ。そう、ドイツ料理を肉とじゃがいもだけと思っている方々が知らないだけ。今宵は酢がきいたシンプルサラダ。これがね、さっぱりしていておいしいのよ、特にニンジン。簡単そうだが、なかなか自分では同じようには出来ないのがこのサラダ。ドレッシングでごまかさない、素材の味が活かされたサラダなんざんす。


【Rumpsteak "Madagaskar" vom Grill, mit feiner Pfefferrahmsauce und fritierten Röstzwiebeln, Kartoffelkroketten und Salattelle・・・15,50ユーロ】
からりとローストされた玉ねぎがおいしいステーキは、ダンナのメイン。


【Spelunkensteak vom Schweinenacken
mit Speckscheiben, Röstzwiebeln und Käse überbacken,
Pommes Frites und Salatteller・・・9,90ユーロ】
ワタクシは、こってり系の豚ステーキ。肉の上にはベーコン、ロースト玉ねぎ、そしてチーズがたっぷり。カロリーはカツ丼以上とみたが、そんなことはお構いなし。夏旅最後の宴なもんでね。


とろ～りチーズの下は、この通り、たっぷりロースト玉ねぎに負けないほどの肉厚豚。


たらふく夕食を頂けたのは、食前のサウナのお陰。5月から9月、そして水・金・土の17～23時と、利用がかなり限られた札をみて、あれれ？？と期待せずにサウナゾーンへ進んでみたら、これがかなりの充実施設。ドライサウナ、ミスとサウナは勿論のこと足湯もできるし、ゆったり寝そべって読書もできる。水やハーブティーの用意もあり至れり尽くせりでござんした。


サウナ→たらふく夕食→爆睡したら、目覚めはすっきり。花が溢れる小さなまちをジョギングしてから～の朝食。


夕食を頂いた部屋とは違ったJägerzimmer（イェーガーツィマー＝猟師の部屋）に朝食は用意されておりました。猟師の部屋というだけあり、鹿の首が所所に飾られておったよ。


広い部屋の片隅にこじんまりと用意されたバフェ。


おきまりドイツの朝ごはん、チーズにハムにソーセージ。バスケットの中からゆで卵も頂き、朝からご馳走。


大きなドイツパンは夫婦2人ではもてあましてしまうため、我が家の食卓には登場しない。ドイツのホテルに宿泊した際に、御相伴に預かることとしております。ザ・ドイツパンは、やはりうまし。


猟師の部屋のお隣は、燦燦と日が差し込む明るい部屋。Wintergarten（ヴィンターガルテン＝冬の庭）と名づけられた部屋は、寒い冬でも外でお茶してる気分が満喫できそう。


【今回宿泊した部屋】
部屋はご覧の通り質素なもんでございますが、サウナに料理と、いずれも満足度高しのゲストハウスで文句なし。
●ダブルルーム：78ユーロ（1泊・朝食付）

ドイツ南部を車で旅行する際、フランクフルトからの中継ホテルとして今後も利用価値大。日本の民宿みたいな雰囲気のゲストハウスでござんした。


「夏旅2013」で最後に出会った猫はホテルの周りをウロウロしていたコイツ。なんと生きたネズミをバクバク食べておったのよ。実はネズミを食べる猫など生まれてこの方はじめてみたもんで、面食らってしまったよ。

さっさと家路を目指し車を出発させねばならぬのに、猫好きのダンナは、いつまでもコイツと遊んでおった。まあ、あとは家に戻るだけなので今回は大目にみよう。充実の「夏旅2013」を企画してくれたしね・・・。
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小さな村の水の城 (1)ミトヴィッツ

2013.8.17～18
北ドイツの街々、そして磁器で有名なMeißen（マイセン）を満喫し、チェコ国境近くのSelb（ゼルプ）を巡る旅のしめくくりは、日本のガイドブックなんぞにはのっていない小さなまちMitwitz（ミトヴィッツ）。ブナやモミの木が生い茂る緑豊かな森Frankenwald（フランケンヴァルト）に程近いまちでは、旅の疲れを癒すべくホテルサウナで体を休め、早朝ランニングと健康的に時間を使った。走っていた際に出会ったのが、こちらのWasserschloß（ヴァサーシュロス＝水の城）。見るべきものなど何もないかと思ったら、結構立派な城にお目にかかれて、ちと楽し。


ひっそりと佇む城の周りには、手入れの行き届いた花々が咲いておりました。


城の起源は13世紀にまで遡るよう。何人も主が変わった城だが、Weißen Saal（ヴァイセン・ザール＝白の間）と呼ばれる美しいホールがあるそうで、5月から9月の間は土曜日と日曜日にガイド付きで場内見学が可能だそう。そして、なんともワタクシ的な楽しみが、ここで開かれるクリスマスマルクト。第1アドベントの週末に開かれるようで、今年のクリスマスマルクト巡りの候補地に加わった。

【Wasserschloßに関するサイト】www.mitwitz.de→Wasserschloss


城へと続く道は、晩夏の雰囲気。夏を満喫する1週間のドイツ旅行であったが、最終日にはなにやら秋の気配。旅の終わりとともに短い夏が過ぎ去ってしまったよう。


城門をくぐり抜けホテルへ戻る途中、手作り感たっぷりな「まちの地図」と出会った。市庁舎に教会・・・、どれも観光ガイドには載っていないものだけど、こんな地図を手がかりに散歩するのも悪くない。


気配はすっかり秋なのだが、まちを飾る花々のお陰で寂しい雰囲気は吹き飛んだ。ドイツの名もないまちMitwitz（ミトヴィッツ）で最後に見かけた景色は、日曜日の早朝に花の手入れを黙々としている少年。印象的な光景でございました。
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【ローゼンタール・アウトレット】 磁器の街 ゼルプ

2013.8.17

陶器のまちマイセンを堪能したあとに待ち受けていたのは、またまた陶器のまちSelb（ゼルプ）。チェコとの国境にも近いドイツ南東部にあるこの小さな街では、ＨUTSCHENREUTHER（フィッチェンロイター）が開窯し、もうひとつの人気の窯Rohsen thahl（ローゼンタール）が有名だ。

街の玄関では、この通りでかい欧風土瓶がお出迎えだ。世界の大陸をかたどった、なんともいえない可愛らしい土瓶を横目に街の中へすすんで行く。


■　■　■　■　■　Rohsen thahl Outlet Center
【住所】Philip-Rosenthal-Platz 1 95100 Selb
【電話】09287 72 490
【ホームページ】www.rosenthal.de


日本円で、ん万円もするマイセンの陶器。「あら、いいですねぇ、右も左もいいですねぇ」、と思いながらも手を出せない価格帯であった。だがしかし、マイセンほど高くないこのローゼンタール社（それでも定価は高い）のアウトレット。ここであれば、この鬱屈した陶器に対する欲が発散できるのだ。いざ中へ。


ローゼンタール本社に併設されたアウトレットと聞いていたので、こじんまりしたものと勝手に思い込んでいたのだが、とんでもない。ＨUTSCHENREUTHER（フィッチェンロイター）、VERSACE（ヴェルサーチ）、Thomas（トーマス）の商品は勿論、WMF（ヴィーエムエフ）、Villeroy & Boch（ビレロイ＆ボッホ）から、ファブリックメーカーまでドイツのキッチングッズメーカーが一同に会しておりました。中でも今回、ワタクシが夢中になったのが、お高いステンレスグッズのsambonet。街中の店であれば見てるだけ～であろうが、コーヒーポットにカゴ、そしてナプキンスタンド・・・・、ダンナのカードでふふふ、購入。街中より安いといってもやはり値のはるsambonet。後日カードの請求が来た際には、「何をこうたんや！？」と、ご立腹気味。いやいや、しかし、いい買い物でござんした。


欲を放出して街を去ろうとしていたら、街中には陶器の博物館も見られた。「次回やな」とダンナがつぶやき、ゼルブの街を後にした。

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葡萄畑に囲まれたホテル (7)マイセン

★★★★DOMHERRENHOF MEISSEN
【住所】Freiheit 10 01662 Meißen, Sachsen
【電話】＋49　3521 40916-01


案内された部屋の窓から見えたのは葡萄畑。これほど間近に、たわわなる葡萄が見える部屋に宿泊するのはお初。オーシャンビューならぬ葡萄ビューで、好印象なホテルとなった。


【今回宿泊した部屋】
●198ユーロ/2泊・朝食付


広くもなく、さしとて狭くもなく、くつろげる部屋でございました。


初日の夜は、Meißen（マイセン）の旧市街散策を早々に引き上げ、ホテルのテラスでくつろいだ。ホテルのレストランは、ちょいとオタカメノのコースメニューもございまして、気さくなドイツレストランとはちょいと雰囲気が違っております。


【赤ワイン・・・6ユーロ/グラス】
食事は街で済ませてきたので、ここではアタックの強いご当地ワインを頂いた。


翌日、朝食が用意されていたのは、昨夜ワインを頂いたテラス。


ホテルはMeißen（マイセン）の旧市街を見下ろす小高い丘に建っており、テラスからの眺めも良し。この街ご自慢のMeissen（マイセン）磁器のCarillon（カリヨン）を聞きながら、頂きましたよ朝食を。


こちらのホテルはバフェ方式ではなく、全てテーブルサービス。ゆっくり座って、ドイツらしい朝食をたっぷり頂こうではないか。まずテーブルに運ばれたのは、肉厚サーモンと野菜スティック。薄くスライスされたスモークサーモンがドイツの定番なのだが、肉厚もなかなかイケル。


ハム、ソーセージ、チーズがテーブルに並び、ザ･ドイツの朝食オールスターが勢ぞろい。


卵も好みの調理方法を尋ねてくれたので、ダンナも私も目玉焼きをお願いした。


カゴにてんこ盛りのパンの中から、大好きなクロワッサンと甘いデザートパンを頂く。もっちりとした白パンもと思ったが、腹いっぱい。


眼下に広がる葡萄畑を眺めながらの朝食は、食欲が増進。だがしかし、テーブルにはわんさと蜂がやって来て、なんとソーセージを齧っておった。蜂って肉食なんだと、びっくり。


蜂というマイナス点があったにせよ、こんな風景を眺められるとはなんとも至福の朝食。


2日目は、もっちりのドイツパンを頂く。勿論ドイツ人の流儀にならい、ハムやチーズをパンに挟む。


食後はホテルの庭や葡萄畑を散策。


この散策がなかなか楽しく、街歩き前のちょっとした運動となりました。ドイツワインの生産北限となるMeißen（マイセン）。この葡萄が、おいしいワインになるのかしらね？


葡萄だけではござりまえぬぞ。薔薇なんぞも咲いておった。


ホテルから旧市街までは坂を下って参ります。これがまた、なかなかに雰囲気ある道。アップダウンが苦でなければ、とてもおすすめなホテルざんす。


葡萄に囲まれたホテルは、古都Meißen（マイセン）の記憶に残るひとつとなりました。
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大聖堂のオルガンコンサート (6)マイセン

2013.8.17
磁器の街としてあまりに有名なMeißen（マイセン）だが、長い歴史を振り返ればそれもわずか200年ちょっとのこと。この街にはじめて城が築かれたのが929年。その城があった場所に建てられた大聖堂が、現在のような3つの塔をもつものとして建設されたのは13世紀の半ば。家々の屋根よりも高く突き出た3つの塔はMeissen（マイセン）磁器と並び、この街のシンボル。


Erbe（エルベ川）のほとりから大聖堂を目指し坂を上ると、途中に見えてくるのは小さなレストラン。庭には花が咲き、思わずここでひと休みしたい気分。只今、開店準備中。素敵なテラス席を眺め、先を急ぐことといたします。


この可愛らしいレストランと対面するように、なにやら歴史ある佇まいの門があったりと中世的な雰囲気満点。以前は爵位のある人物が所有する建物だったよう。正面の門はライオンが装飾された歴史的な建造物。


坂道の勾配がなくなると、大聖堂へ続くSchlossbrücke（シュロス橋）が現れる。この橋からは、茶色の屋根が美しいMeißen（マイセン）の街が一望できる。


橋を渡り門をくぐると目の前に現れるのが、大聖堂。


大聖堂には中庭を擁する回廊があり、訪れた日には紫陽花が咲き誇っておりました。


ドイツの文豪ゲーテが「ドイツでも最も美しいゴシック教会」と誉め讃えた大聖堂の身廊。

こちらの大聖堂では”Mittagsorgelmusik”と題し、2013年は4月から10月の日曜及び祝日にオルガンコンサートが企画されており、訪れた日は丁度オルガンコンサートの開始直前。


ドイツの教会を訪れたなら是非ともオルガンの音色を楽しむことをおすすめいたす。実際に耳にする教会オルガンは、かつて信仰が人々の全てだった時代へと誘うかのような旋律。時としてちとコワイ旋律だがね。美しいだけでなく恐怖をも抱かせるオルガンの音色からは、西洋の歴史を聴覚で感じられる気がする。オルガンコンサートの終盤は、大概おどろおどろしい旋律で、最後は天に召されるかのような透き通った音色に変わる。知らず知らずのうちにキリストへの絶対心を増幅させるような曲が教会オルガンなんだわさ。CDでは味わえない迫力をドイツの教会で一度は体験してみるのもよろしいかと。


***ORGELMUSIK AM MITTAG***
オルガン奏者 Henning Wagner　
演奏曲●Präludium　und　Fuge in C-Dur,BMW545 ウムラウト
●Fuge in G-Dur "Komm heiliger Geist"
●Fuge in B-Dur über "B-A-C-H"
●Strahover Improvisation in B-Dur
●Toccata in h-Moll

内陣には、この大聖堂を設立したオットー1世とアーデルハイト妃が3度の修復を経た美しい姿でおいであそばした。その向かいには、この街の聖人ヨハネとドナートゥス司教もまつられている。


大聖堂の西側は、かつてこの地方を支配した有力な一族ヴェッティン家の墓所。Meißen（マイセン）を世界的に有名な磁器の街としたアウグスト強王のご先祖さん方である。好戦王と呼ばれた一族の偉大な父、ザクセン選帝侯フリードリヒ1世もここに眠っている。


墓所の隣に続いているのは、化粧漆喰の美しい天井がある小さな部屋。ここには、ヴェッティン家最後のカトリック信者となったゲオルク伯爵の墓石がある。


小さな部屋にはルーカス・クラナッハの父の工房で描かれた祭壇画がございます。ルーカス・クラナッハの息子の名もまた、ルーカス・クラナッハというと同じ名前で、父親の方はかっこ書きで（父）と区別されてることが多いそう。数々のアダムとイブやドイツの教会や城でよく見かけるマルティン・ルターの肖像画を残した著名なドイツの画家。なんと、ルターとは友人だったそうで、ルターの家族も描いているそうだ。写真はございませぬが、この部屋の祭壇は、ルーカス・クラナッハ（父）本人が手がけたもの。


大聖堂の南側は聖具などが安置されており、ちょっとした博物館の様でございました。こちらは、説教壇で使われた砂時計だそうで、1700年にニュルンベルクで作られたもの。真鍮や鉄の素材を金メッキで仕上げた見事なものでござんした。


大聖堂はかつて磁器工房でもあったAlbrechtsburg Meissen（アルブレヒト城）と寄り添うように建っている。この日は、城で結婚式をあげるカップルがおり、観光客の餌食となっておりました。


城と大聖堂が取り囲む広場にはレストランやカフェがいくつか並び、中にはMeissen（マイセン）の代表選手であるブルーオニオン模様のポットを掲げる店もございました。勿論本物ではないでしょうが、こんな看板を見るとついつい入りたくなってしまう。なんとも商売上手なことだわさ。


大聖堂でオルガンコンサートを楽しんだ後は、偽者ブルーオニオンの看板に騙されることなく目をつけていた広場のレストランへと急ぎます。


こちらはMeißen（マイセン）で頂いた最後のUKIUKIビール。


丘の上に建つ大聖堂と城を訪ねたら、すぐさま街に戻らずに街を見渡せる丘の上でちょいとひとやすみが得策でしょう。


いかにもドイツのレストランらしい中庭は、気取らず食事やビールが頂ける場所。ここはホテルの中庭で、ドレスアップして食事を頂くような部屋もございました。先ほど観光客のカメラの餌食となっていたカップルも城で式を終えたあと、この店の大広間でパーティーを開いておったよ。


小腹が空いたというダンナは、メニューに大好きなボルシチをみつけオーダー。


ワタクシはビールのつまみに芋でございます。


■　■　■　■　■　■　■　■　■　■　Hotel Burgkeller in Meißen‎
【住所】Domplatz 11 01662 Meißen‎
【電話】03521 41400
【ホームページ】www.hotel-burgkeller-meissen.de


大聖堂を後にして街に戻る道で、あれっと気になったのが行きは固く閉ざしていた古い門。


大きく開いた門の扉の向こうには素敵な中庭が広がっていて、アンティークな代物がすましたように並んでいた。小さな骨董市が開かれていたようだ。Meisenn（マイセン）磁器だけない魅力をもつ街Meißen（マイセン）。いつの日か大金をつかんだら（そんな日はいつくるんかい・・・）、この街に磁器を買いにやって来よう。
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カリヨンの音を聞きながら夕食 (5)マイセン

2013.8.16
Meissen（マイセン）磁器のCarillon（カリヨン）を持つFrauenkirche（聖母教会）と路地を隔てた場所に、見るからに歴史あるレストランがございます。Meißen（マイセン）旧市街のMarkt（マルクト広場）にはいくつもレストランがあったのだが、最後の晩は一等気になるこちらの店へ。


【Radeberger Pilner・・・3,20ユーロ】
この街自慢のCarillon（カリヨン）の音を聞きながら、頂くビールは至極の味。


特等席を陣取ったつもりでいたが、店には素敵な中庭がございまた。常連さんらしき地元の方々は、こちらでゆるりと食事をとっておった。


現在はレストランとなっているが、もともとは織物業組合の建物。1523年に建築されるも、ドイツ全土を巻き込んだ戦乱、30年戦争でその建物も破壊されてしまう。その後は、とある裁判官の所有となりその一族が代々受け継いだよう。しかし、なんと拷問室が置かれていたこともあったと、店のテラスに掲げられた建物の歴史に記されていた。拷問とは穏やかではござらぬぞ。ゆるりと食事なんて雰囲気も吹っ飛びそう。「中世の面影が残る」と触れ込みの街には、この手の物騒な建物や道具が残されていたりするが、Meißen（マイセン）も例外ではなかった。ここがレストランとなったのは、1873年のこと。それ以来、拷問なんぞはここで行われていないはず・・・。


【Rinderbraten mit Traubensauce,
an sommerlichen Gemüse und Schupfnudeln・・・13ユーロ】
旅も終盤ということで、ダンナはコテコテのドイツ料理を注文。肉にかかるソースはドイツ料理特有のもので、デミグラとも違いもっと濃厚。脂身がほとんどない肉はトロトロに柔らかく仕上げられており、濃厚ソースがズバピタと来る。


【Sommerliche Blattsalate
mit gebratenen Hähnchenbruststreifen,Knoblauchcroutons und Balsamicovinaigrette・・・11ユーロ】
昼食にマイセンづくしのランチを頂き、夕食になっても腹がすかないワタクシは、軽くサラダ。といっても、ドイツレストランのサラダはボリューム満点。野菜だけではちと寂しく、肉が入ったこちらを注文。


料理が盛られた皿のすみには、この店が小さく描かれておりました。周りのテーブルでは、おいしそうなデザートを頬張る方々の満足気な笑顔。ダンナとワタクシはこれだけで満腹満蔵。甘いものは別腹なんていえないほど満腹。


食事にいそしんでいると、どこからともなく「にゃ～」という鳴きがきこえる。もしや、と思ってあたりを見回すと、いた。客からのおこぼれが目当てか、テラス席を練り歩き、ときおり、にゃー、とアピール。てっきりこちらの店の看板猫かと思い、給仕のおばさんに尋ねてみると「近くの野良猫よ！」とにべもない回答。どうも、このあたりの厄介者のよう。しばらく各テーブルをうろついていたが、結局誰からも恵みを受けることのなく、知らない間に姿を消した。

食事を終えて帰ろうとしたところ、通りの草陰でまたこの野良猫をみかけた。むしゃむしゃむしゃ・・・・、草陰で何かを食べている様子。ようやく何か食べ物にありつけたのか、と思って近づいて見たら、草。一心不乱に道端の雑草にかぶりついていた。そないに腹を空かしていたとは・・・。何もやらずに御免よ！最後に、この野良猫に別れを告げ、ホテルへと向かう。明日は、いよいよMeißen（マイセン）最終日。


■　■　■　■　■　■　■　■　■　■Vincenz Richter
【住所】An der Frauenkirche 12, 01662 Meißen
【電話】(0049) 3521 453285
【ホームページ】www.vincenz-richter.de
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マイセンづくしのランチ (4)マイセン

2013.8.16
Meissen（マイセン）磁器美術館で、思いがけないお楽しみが体験できたのがこちらのレストラン。「マイセンの食器でフルコース食べてみたいやろ～。」とダンナがにんまり笑う。ううう・・・・、私の壺、いやツボがわかっておるな。「Meissen（マイセン）でタイムトラベル」と銘打ったコース料理は、18､19、20世紀と異なる時代を代表するサーヴィス・セットで食事がいただけるというマイセン信者にはたまらない企画。


こういう時に決まってダンナが口にするのは、「飲んでもええで、ゼクト」。その申し出、遠慮せずに受けてしんぜよう。上機嫌でロゼのゼクトで乾杯。


店内には随所にMeissen（マイセン）磁器が飾られており、食前酒を飲みながらじっくり鑑賞。壁には Sabine Wachs（ザビーネ・ワックス）のコンソール。Wellenspiel（波の戯れ）と名づけられたサーヴィス･セットが代表作の女性製作者。Meissen（マイセン）磁器美術館の正面壁画のデザインをも手がける現代の重鎮のひとり。


こちらは、この日のメニュ ー。頂いたものはドイツ語ではなく英語だったので、本日は英語表記の料理名を以下に転記。

　　　～・～・～　Time travvel with Meissen ～・～・～
　　●Marinated fillet of salmon with honey mustard dip and leaf salads
●Roasted saddle of veal with glazed sugar snaps and chanterelle risotto
●Ice parfait of elderberry flowe with fresh strawberries


前菜は、18世紀のMeissen（マイセン）を代表するJohann Joachim Kändler （ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー）が生み出したSchwanenservice(スワン・サーヴィス)の皿に盛られ登場。これは当時の磁器工房の最高責任者が報酬の代わりにMeissen（マイセン）磁器を要求して誕生したサーヴィス・セット。

はちみつマスタードで頂くサーモンは、ゼクトとともにほおばりまして、大変おいしゅうございました。


権威の象徴でもあった白い磁器Meissen（マイセン）は、18世紀のヨーロッパでは一部の特権階級のものでしかなかった。ところが19世紀に入ると一般の人々もこの高級なる磁器を収集するようになり、何年もかけてすこしずつ買いたしてセットを揃えたんだそう。市民階級に人気だったのが、緑のぶどうをモチーフにしたVoller grüner Weinkranz（常緑のぶどうの輪飾り）。1817年にこのシリーズが発表された後、緑がザクセン王国のナショナルカラーとなったため爆発的な人気を呼んだんだそう。この日のメイン料理は、19世紀に一般市民に人気を博したJohann Samuel Arhold（ヨハン・ザミュエル・アルンホルト）のWeinkranz（常緑のぶどうの輪飾り）に盛られて登場。

肉は勿論のことアンズダケのリゾットが、おいしゅうございました。


メイン料理にあわせ、ご当地ワインも頂きます。ドイツワインの生産北限が、ここMeißen（マイセン）。質の良いぶどうから作られるワインの評判はなかなかのよう。ドイツワインにしてはアタック強しでございます。


〆のデザートは、壁を飾るコンソールを手がけたSabine Wachs（ザビーネ・ワックス）のWellenspiel（波の戯れ）で頂きます。20世紀に生まれたこのシリーズは、水面に広がる波をモチーフにした白磁の白い色がより美しく引き立てられるようデザインされている。

あ、〆のデザートも勿論ウマシ。


季節がよろしければ、テラス席でも食事が楽しめる。お茶だけなんていわず、ここではMeissen(マイセン)磁器でフルコースを召し上がれ。
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マイセン美術館 (3)マイセン

2013.8.16
あまりにも有名なMeissen（マイセン）磁器に描かれる青の双剣。模倣品や偽者からわが身を守るため、1731年から現在に至るまで、このコバルトブルーの2つの剣は全ての磁器にひとつひとつ手描きされているという。Meissen（マイセン）磁器であることの証であるコーポレートデザインも、最初は青の双剣ではなく、磁器に心酔したアウグスト強王の頭文字”AR”や、王立磁器製作所の頭文字”KPM”が併用されていたんだそう。絶対的な信頼を担う青の双剣も時代によりそのデザインは違っているが、機械を使うことなく人の手で描かれることが途絶えることは未来永劫ないようだ。トレードマークの剣のみならず磁器製作が機械化されていないのも、Meissen（マイセン）が最高峰と言われる所以。今なお全てが精巧な手作業と聞けば、高額な値段にも納得。


Meissen（マイセン）美術館では、ろくろ引き、成形、下絵付、上絵付と4つの製作工程を見学することができる。かつては、磁器工房を案内していたそうだが、見学者が減ることはなく、ついには製作現場に支障をきたすほど増えてしまったそう。そこで、効率的に製作工程を見ることができる現在の見学工房がつくられることになったんだとか。


磁器人形製作の巨匠Johann Joachim Kändler （ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー）が、この美しき芸術作品を生み出したのは18世紀。そのころと変わらぬ技法が今も守られているのだから、Meissen（マイセン）とは、なんと頑固な職人であろう。


手ひねりでひとつひとつ製作された細かい装飾がつなぎ合わされて、美しい磁器人形は完成する。


磁器をつくる過程の中でも、下絵付は最も厳しい作業のようだ。さまざま筆を使い素焼きの磁器に描く下絵は、間違いが許されない。描いたそばから顔料が磁器に染み込んでしまうため、修正不能だからだそう。


最後の工程となる上絵付けで使用される顔料は1万種類を超えるそうだ。微妙な色彩もまた上絵付師自身が、顔料とテレピン油をパレットナイフで作り出すと知り、Meissen（マイセン）の凄さを目の当たりに感じた。


Johann Joachim Kändler （ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー）による巨大なセンターピースが、吹き抜けの美術館正面入り口でお出迎えしてくれた。こちらは1749年に開かれた祝宴のために製作されたもの。


美しい磁器人形も皿やカップも、このお方なくしては生み出されることがなかったでしょう。東洋の磁器をヨーロッパの地で作り出すべく、城に幽閉され秘法を発見したのが、Johann Friedrich Böttger（ヨハン・フリードリッヒ・ベドガー）。銀の皿で食事をとり、寂しさを紛らわすためか閉じ込められた城で猿を飼っていたという男が作り出したのは単なる磁器に在らず。ザクセン王国の金庫を潤わせた白い金なんである。陶器を買いあさり、金も底をつきかけたアウグスト王が彼に救われたのはいうまでもない。


磁器開発に成功後、Meissen（マイセン）の基礎を築いたひとりが、Johann Gottlieb Kirchner（ヨハン・ゴットリープ・キルヒナー）。それまで大きいたな彫刻を手がけていたKirchner（キルヒナー）だが、アウグスト強王の所望により動物を象った磁器を数多くつくり出している。艶やかなラインオンは、1730年頃製作されたもの。


一見ヨーロッパで作られたことがわからにような絵柄にすることが重要だった時期には、日本や中国の磁器が手本とされた。大航海時代には、中国風がもてはやされ、ウィーンから招かれた絵付師Johann Gregorius Höroldt（ヨハン・グレゴリウス・ヘロルト）は、シノワズリなる中国ちっくな様式を生み出した。今もって時にヨーロッパの磁器なのにMeissen（マイセン）のそれがどこか東洋的だと感じるのは、そもそもが東洋を手本にしていたから。その呪縛から解き放たれたのは、18世紀中頃になってのこと。菊や牡丹などに変わり、ドイツの花が絵付に現れるようになる。


【 Beim Zahnarzt(1741年)　Johann Joachim Kändler 作 】
造形に深いKirchner（キルヒナー）が工房を去り、後継におさまったのがJohann Joachim Kändler（ヨハン・ヨアヒム・ケンドラー）。美しい数々の顔料を開発したHöroldt（ヘロルト）とKändler（ケンドラー）が共に活動する時期があり、工房では熱い戦いが繰り広げられたよう。時として厄介扱いされる「巨匠」が2人も職場に存在したら、弟子たちはさぞかし大変だったことでしょう。やがて、Kändler（ケンドラー）が作り出す流麗なロココ人形が世の絶賛の的となり、Meissen（マイセン）もあらたな時代に突入する。


【 Der Herzdosenkauf(1788年)　Johann Joachim Kändler 作 】
ドレスデンからアウグスト強王に招かれたKändler（ケンドラー）は、44年にわたり魅力的な磁器人形を製作し続けた。彼の作品はヨーロッパ各地で複製が作られるほどの人気だったが、勿論、本物を越えるものなど現れなかったようだ。


立体的な花が密集する花瓶は、驚くほど精巧な細工。ひとつひとつ手ひねりで作られた白い花。こちらもKändler（ケンドラー）の作品（のハズ）。


Kändler（ケンドラー）が（ヨハン・フリードリッヒ・ヘベライン）と共に1737年から約3年の歳月を費やし製作したのが、「スワンのサーヴィス・セット」。水にまつわる神話をモチーフに白鳥をかたどった器が特徴。Meissen（マイセン）の最高責任者だったHeinrich von Brühl（帝国伯ハインリッヒ・フォン・ブリュール）が報酬の代わりに、Meissen（マイセン）磁器でつくられたサーヴィス・セットを要求したためつくられたシロモノ。


貝殻を頭にのせているのは、海神ネレイデス。


こちらも有名な猿の楽団の1匹。アウグスト強王はアフリカから珍しい動物を連れ帰り飼育するほどの動物好きだったそう。そのため、動物の磁器を数多く御所望されたんだとか。滑稽な猿のオーケストラシリーズをKändler（ケンドラー）がはじめて手がけたのが1753年。以後、他の製作者と共同し多くの猿の音楽隊員を誕生させた。


Kändler（ケンドラー）が「イタリア喜劇」と題したシリーズの磁器。アウグスト強王の死後、人間味溢れる磁器人形を多く作り上げている。中でも仮面をつけた人や道化師は、彼が好んでモチーフに取り入れたもの。


【天使の時計(1772年)　Michel Victor Acier作 】
Kändler（ケンドラー）にとってかわったのが、フランス人のMichel Victor Acier（ミシェル・ヴィクトール・アシエ）。天使にはKändler（ケンドラー）の作風と同様のロココな雰囲気が漂うが、新古典主義という新たな流れへ工房を導いた彫像家。


1862年に開催されたロンドン万博には、Meissen（マイセン）磁器の作品が数多く出展された。Ernst August Leuteritz（エルンスト・アウグスト・ロイテリッツ）の「スズランのデジュネ」もそのひとつ。

Meissen（マイセン）の第二の全盛といわれた19世紀後半に活躍した製作者のひとりが、Ernst August Leuteritz（エルンスト・アウグスト・ロイテリッツ）。この頃、鮮やかな輝きを放つゴールドの顔料が開発され、手間をかけずして磁器製作に取り入れられるようになった。そのためゴールドを効果的に使った食器や花瓶が多く作られた。


同じ花瓶でも、Leuteritz（ロテリッツ）の花瓶とは対照的。Eduard Julius Braunsdorf （エードゥアルト・ユーリウス・ブラウンスドルフ）がコバルトブルーで描いた青いバラが艶やかな白い磁器に映え、イブシ銀の輝きを放っていた。フランスの印象派の画家から多大な影響を受けた彼は、当時、第一級の花の画家と呼ばれたそうだ。白とコバルトブルーの花瓶を見て思い浮かぶのは、Meissen（マイセン）の主力選手である「ブルーオニオン」と、もうひとつはクリスマスプレート。色とりどりの磁器も素敵だが、白とコブルーこそMeissen（マイセン）の真骨頂でございますな。


常に素晴らしい製作者の台頭が、Meissen（マイセン）の魅力でもある。1900年のパリ万博で金メダルを受賞したEhlich　Hehsel（エーリッヒ・ヘーゼル）は、一般公募を勝ち抜き、1903年にMeissen（マイセン）の造形責任者の地位を得た。工房のさらなる革新を担ったひとり。


Kändler（ケンドラー）と肩を並べたなんていわれる評価が下されているのが、Paul Scheurich（パウル・ショイリッヒ）。1930年に作られた「扇を持つ貴婦人」は白を貴重に色彩がそえられた作品だが、「白いまま」が彼の作品の特徴でもある。


膨大な数の磁器作品を見て周り、最後に吹き抜けのホールに戻ると、磁器製のパイプオルガンが目に入った。極上の梨の無垢材におさめられた磁器製のパイプオルガンの音色を是非とも聞いてみたくなった。実際に、ここでパイプオルガンコンサートも行われたことがあるそうで、お飾りではござらぬよう。


誰の作品が不明なのだが、この日、最も気になったのがこちらの磁器シャンデリア。


美術館の一角には、若手の磁器作品が展示されていた。本物と見まごうような花々でございました。


磁器とは思えぬブルは愛嬌だっぷり。こいつも気なる作品其の二。

2つの世界大戦も東西ドイツの統一にも揺るがされることなく、伝統の技法が脈々と受け継がれてきた窯Meissen（マイセン）。歴史も去ることながら価格も一級品。帰りにブティックに立ち寄ったら、先日ご近所さんでお茶を頂いたときに出していただいたティーカップとポットがございまして・・・、その価格にびっくり。「誰が割ってもおこらない」という条件で、お母様に買っていただいたものだと言っていたけれど。

念願のMeissen（マイセン）美術館を訪れてわかったこと。それは値の張るMeissen（マイセン）磁器を自分が所有したいのではなく、製作に携わってみたいという野望があること。ああ、ただの夢ですが、ここには工房が主催する磁器教室なんかもあったりするそうで、学んでみたいなMeissen（マイセン）でなんて思ってみたり・・・。磁器を眺めての楽しい時間でございました。
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